これからは個人が経済を回す!?いま話題のギグワーカーとは?

コロナ禍でますます働き方改革の推進が課題となる中、先月7月、Yahoo!がギグパートナーの募集を開始したことがニュースになりました。結構色々なところで取り上げられていたのでニュースを見たという方もいらっしゃるのではと思います。

しかし、「ギグパートナー」ってなんだかまだあまり耳慣れない言葉じゃないですか?何を募集しているのか、パートナーを募集していることは分かりますが、「ギグ」とは何でしょうか?

こんにちは。Chili Bean’sマーケティングサポーターのサイトウです。今回はこの「ギグ」という言葉について少しご紹介できればと思います(もう知ってるよ!って方は読み飛ばしてくださいませ!)。実はこれ、個人の皆さんにも関係のある「働き方」を大きく変えるトレンドになってきている言葉で、特にこれからのポストコロナといわれる時代にもっと浸透してくるキーワードだと個人的には思っています。

「ギグ」って何?アメリカ経済の43%を担う、その「働き方」とは?!

さて、早速ですが「ギグってなんやの?」というお話から簡単にさせていただければと思います。もし楽器を弾かれる方がいたらこの言葉について何か思い当たりませんか?そう、「ギグ」とはミュージシャンが単発で行うライブ演奏のことなんです。そこから転じて「ギグワーカー」は単発で仕事を請ける個人労働者のことを指すようになりました。例えば「新しいビジネス戦略を一緒に考えてくれる外部のブレインが欲しい」とか「SEO対策だけ外注しよう」とか「新製品に必要な知識を持った人が開発プロジェクトメンバーに必要!」というような場面に対して、個人へ直接単発の案件を発注するやり方が外注のひとつの選択肢として定着しつつあるのです。かくいう私サイトウもギグワーカーとして、ある企業様から「マーケティング部の人手が足りなくなる新製品発表前だけの単発のお仕事をお願い!」と直接依頼されて請け負いました。

この「ギグワーカー」という言葉自体はFORBESの2019年12月の記事によると、アメリカでは2008年から2009年に起こったリーマンショックによる財政危機の頃に出てきた言葉だそうです。単発の案件ベースでの労働力の必要性が、どの会社においても急務となっていたからです。フルタイムで働く正社員を抱え続ける負担と、慢性的な人手不足によって均衡が崩れてしまった企業も多かったのではないでしょうか。また、IntuitのCEOによると2019年時点でアメリカの全労働力の約34%をギグワーカーが担っており、2020年中に43%にまでなるだろうと予測されています。つまり、ギグエコノミーが働き方に変革をもたらし、労働力不足を解決する重要な鍵になっていくであろうと期待されているのです。

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日本でのギグワーカーはどうなる?メリットやデメリットは?

日経STYLEの記事によると、国内のギグワーカーは約1000万人いるといわれています。副業的にやっている方もいれば、単発の仕事を継続的にメインでやっている方もいるでしょう。コロナの影響でデリバリー産業の需要が増えたことは、みなさんも肌感として感じていらっしゃるのではないでしょうか。私も3食自炊に飽きた時によくテイクアウトや近所のカフェも利用するのですが、ひっきりなしにUber Eatsのドライバーさんが配達する商品を取りに来ているのを見かけます。コロナ特需を受けて、彼らは今年に入って最ももよく見かけるギグワーカーと言えるでしょう。また、ビジネス戦略コンサルタント、エンジニア、デザイナー、マーケター、特定の専門技術や知識のコンサルタントなどの副業案件、単発案件を紹介するマッチングサイトや彼らをサポートするようなサービスもどんどん出てきていますよね。中には「写真の撮り方教えます。1時間オンラインレッスンで4000円」といったサービスを提供されている方もいます。プロカメラマンによる副業的な働き方ですが需要はありそうですよね。これでますますギグエコノミーは日本でも加速するのではないでしょうか?!

ギグワーカーのメリットは、なんといっても働き方を自分の裁量で決められることです。自由に好きなだけ働くことが出来、職種によってはオフィスに通勤することなく好きな場所で働くことができます。ビジネス戦略の立案といった重要な依頼もあれば、デリバリー要員として配達を請け負うといった気軽に出来る仕事もあります。そして単発の仕事なので会社の煩わしい人間関係で悩まされる必要はありません。また、自分がやりたい仕事を好きなだけ受ければいいので、毎日いつも同じ仕事の繰り返しが苦手な人にも向いています。満員電車に乗るのがイヤ、合わない上司や同僚と同じオフィスで気が重い、毎日同じことの繰り返しで飽きた、集団行動が苦手…という方は一度検討してみてはいかがでしょうか?企業側のメリットとしては、正社員を雇わずにプロに任せることが出来る上、新しい人の考え方や技術を取り入れることで組織の活性化につながることも期待されます。

ギグワーカーのデメリットは、やはりその不安定さと保障の無さです。収入が安定する確約は無く、毎回ちがうクライアントの仕事になる可能性もあるため、慣れていくことによる時間の短縮やノウハウの蓄積が難しい場合もあります。また、オフィスに行かなくても良い反面、誰とも話さずに1日が終わってしまうこともあり、孤独が嫌いな人には向きません。もちろん広報のような職種であれば人に会ったり話したりすることが大事な仕事なのでそんなことはないかもしれませんが、ほとんどの職種はそこまで頻繁に人と会わなくても出来る仕事です。会社勤めをしない以上、基本的には聞きたいときにすぐ相談できる人を作っておくか、自己解決が好きな人でなければ行き詰ってしまうでしょう。また、会社にあるような育成システムも無いため基本的には自分を高めて差別化する投資は自分でしていく必要があります。自主的に見聞を広げ、進んで勉強できる人でなければ仕事が来なくなってしまう危険もあります。企業側のデメリットとしては、依頼するのは外部の人なので信頼関係が成り立っておらず、社内のプロセス、ルールや文化を十分に理解していないことから問題が起こるリスクはあります。情報漏えいや事故が起こってしまった場合にどうするのか、事前にきちんと明確にする必要があります。

加速する働き方の多様化。どう向き合うべきか。

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さて、ギグワーカーという働き方、いかがでしょうか。フリーランスと同義のようにも感じますが、ギグワーカーはとりわけ短期の案件ベースで働く働き方を指しています。マッチングなどの技術が向上してきたことにより、企業が何を求めているのかという需要を、簡単にしかも正確に素早く探し出すことが出来、個人側は自分で活かせることを時間をかけずに適切なところへ供給できるようになりました。この需要への供給にかかる時間が大幅に短縮されたことが、このトレンドを後押ししている要因のひとつであると言えるでしょう。これまでであれば、自分のコネを使って仕事を探すしかなかったところが、今やその人脈やネットワークさえも無理して探したり、広げたり、維持したりする必要も無いのかもしれません。(とはいえ私はやはり生身の人間とお話しながらお仕事を進めるのは好きなのですが…)また、ギグワーカーの労働力を必要としている企業側にも労働環境の安全性や適切な情報共有、業務範囲の明示、事前の取り決めを整備しておくなど、明確にしておくべきルールや課題はまだまだありそうです。

最後に、ハーバードビジネスレビューの記事「Thriving in the Gig Economy(ギグ経済の繁栄)」をご紹介します。この記事の中で、「ギグ経済に生きる人々は異なる成功の種類を求めなければならない」という一文があります。英語だと「success」ですが私はこれは「人生の成功」つまり「幸せ」の尺度についての話だと持っています。意訳すると、ギグワーカーという働き方を選ぶなら、他の人と同じものさしで「幸せ」を測ることは難しくなる、ということです。これはすなわち、ギグワーカーは、確固たる自分だけの「幸せ」を持っていなければならない、ということだと理解します。サラリーマンであれば決まった時間に働き、決まったお給料をもらって安定した生活が出来れば幸せ、あるいは大企業でどんどん出世することが幸せ、という人もいるでしょう。ではギグワーカーの幸せとは何でしょうか?自由でやりがいがありながらも保障も無く孤独なこの働き方の「幸せ」は、その人が自分で決めて、そうなるように動くしかありません。誰かが導いてくれるわけでも無ければ、お手本があるわけでもありません。

けれども、一人で出来ることなど限られています。ギグワーカーの方々も、不安なことがあれば助け合っていく、頼れるものを頼っていくのは甘えではありません。もしマーケティング関連でお手伝いできることがあればいつでも声をかけてください。個人で働く皆さんが皆さんなりの幸せな働き方が出来るように、もしChili Bean’sにサポートできることがあればご連絡くださいね。もちろん企業側の方でギグワーカーとしてマーケティングの単発案件を依頼したい方も大歓迎です。

またこうした時事ネタ(?)も書いていけたらなと思っておりますので、気になるネタ、書いて欲しいネタ募集中です!

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