稼げなくなる前に知らなきゃヤバい?いま知っておきたい”VUCA”を解説!

“VUCA(ブカ、ブーカ)”という言葉を聞いたことがありますか?数年前からビジネスリーダーやビジネス誌が良く取り上げる言葉です。ハーバードビジネスレビューでは2014年1月2月号にすでに取り上げられていた言葉で、2020年に入り、COVID-19の影響によってますます注目度が高まっています。今やビジネスパーソンなら知っておかなければヤバい?と思えるほど、世の中の注目すべきトレンドをよくとらえた言葉です。

Arek SochaによるPixabayからの画像

こんにちは。Chili Bean’sマーケティングサポーターのサイトウです。というわけで今回は”VUCA”について少しご紹介しようと思います。VUCAとはずばり”volatility(変動性), uncertainty(不確実性), complexity(複雑さ), ambiguity(曖昧さ)”という4つの言葉の頭文字を取ったものです(ほんと頭文字組み合わせただけの言葉が好きですね~)。みなさんも今年に入り様々な常識が変化し、先の見えない不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。VUCAは「目に見えず、予想がつきずらく、また制御不能な現在の環境」について的確に表しています。そのキーワードについて、ここから一つずつ紹介していきますね。

V:Volatility(変動性)

少し前まではよく「パラダイムシフトの時代」などとも言われ、既成概念を捨てて、急速な変化にも対応していかなければならないと、メディアや権威ある専門家、あるいは経営層のトップがことあるごとに口にしていました。Volatility(変動性)もある意味、パラダイムシフトに近いものがありますが、近年の変化の速さはかつてのそれを凌駕しているように思えます。市場の動向、需要や消費者の流行、潮流などがめまぐるしく変化し、ビジネスはもっと大胆でスピーディな変革を求められています。そのため最近では、私の周りでもこれまでの日本企業のあり方について疑問を呈する経営者も少なくないように感じます。それは「新卒採用の見送り」や「取りやめ」等にも表れているのではないでしょうか。「新卒を大量に雇用して均一なレベルになるようトレーニングする」「ジョブローテーションで経営陣になりえるジェネラリストを大量生産する」といった高度経済成長期から連綿と続いてきた雇用方式について、ここへきてやっと「時間とコストがかかる」「スペシャリストが不在になる」ということに気づき始めたのです。企業はそういったトレーニングは外部の組織や個人の成長意欲に託し、自社では即戦力のスペシャリストを雇用した方が無駄が省ける上、より早い成長を見込めるといった考え方に移行しつつあるようです。新卒にはつらい時代が到来しますが、新しい概念とテクノロジーの進化によって影響される変数に気づき、素早く本質をとらえて対応するフットワークの軽い組織や個人が生き残るのではないでしょうか。

U:Uncertainty(不確実性)

「1年後、どうなっていますか?」という問いに対して自信をもって答えられる人は少ないのではないでしょうか。特にポストコロナの世界はどうなっているか、おそらく誰にも正確なことは言えないと思います。例えば最近の天気予報では「これまでに経験したことのない」という表現が頻繁に使われています。これまでにも経験したことのある程度の雨風であれば、ある程度過去の事例から最悪の事態を防ぐ、または最善の策を講じることができます。しかし、客観的な統計データも役に立たずそこから得られている知識の蓄積を応用できないというのが現状なのです。さらにCOVID-19は国内のことにとどまらず、世界中の国々で同時多発的に起こっていることである上に、それぞれの国によって状況は全く異なります。そのため、未来を予測するということはますます困難になっていると言わざるを得ないでしょう。また、近い将来、AIによって多くの仕事が奪われるということもよく言われています。一方で、では実際にどの職業が確実に生き残れるのかといったことに関しては、様々な人が持論を展開しています。現に私はもともとデザイナーでしたが、現在ではロゴや広告、動画といった制作をAIが自動で行うサービスも多く出ており、デザイナーからマーケターにキャリア変更した7年前、現在のようなことを予想できたかと言われたら全く予想できていませんでした。どんな職業でも将来淘汰されないとは言えない不確実な状況であることは間違いないでしょう。

C:Complexity(複雑さ)

ダイバーシティ(=多様性)。この言葉を初めて聞いたときは「お台場のエンタテインメント施設」のことだと思っていましたが、今では随分一般にも浸透したように思います。現在はまさにその多様性が加速し、それに伴って様々な変数が複雑に絡み合っています。オンラインを含めて様々なコミュニティやメディアや個人がそれぞれ繋がりあい、日々影響し合っていて、それを単純化することはできません。例えば先日の黒人差別に端を発した”Black Lives Matter”が、個人的にはまさにそれを感じた出来事でした。というのもあの時の私のSNS上には多くの人が自身のアカウントのアイコンを黒一色に変えたり、黒一色の画像を投稿したりして抗議の意を表明しました。普段人種差別に興味なさそうな若い人たちもこぞってそうしたアクションを取ったことの一つには、SNSでフォローしている海外の著名人、メディアの影響があるでしょう。それらの動きに共感する形で同様の行動を取ったのだと思われます。つまり、日本国内だけで無く、海外のネットワークからも行動変容を促す要素があり、人々に対してどこから何が(誰が)どのような形で影響し、行動を変容させるのかを完全に把握するのは、もはや至難の業です。また、この複雑さにもつながる、多様性を認めていくという動きは、2028年のロサンゼルスオリンピックのシンボルロゴが28種類に変化するシフティングロゴにもなったことにも顕著に表れていると思います。

A:Ambiguity(曖昧さ)

最後は”曖昧さ”です。今の世の中では断言できることが非常に少なくなっているように思います。例えば性別の欄には「男」「女」以外にも「その他」だったり、「表明しない」といった別の選択肢が追加されている場合が増えましたし、働き方にしても、正社員、派遣社員、契約社員、バイト以外にも「パラレルキャリア」「ハイブリッドワーカー」「スラッシャー」「ギグワーカー」「週末ワーカー」「ポートフォリオワーカー」などなど新たな言葉が次々と現れています。先ほどの多様性にもつながりますが、その人を一言で表すことが非常に難しくなっている時代だと思います。そしてまたその境目も非常に曖昧で、その人自身も流動的にさまざまなセグメントを、その時々に合わせてアメーバのように行ったり来たりしています。こうなってくると正直、マーケティングの基礎である「顧客セグメント」「インサイト」「ペルソナ」といった定義が非常に難しく、また意味を成さなくなってきます。「働き方」に対するネーミングの多さを見ても、変容し続ける働き方の実情、その曖昧な境界線を捉えようと様々な名前(定義)が誕生していることが背景にあるのだと思います。

4つの要素が絡み合う、予測不能な世界で

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

ここまでVUCAの表す言葉について見てきましたが、この言葉が最初に出てきたのは1987年で、もともとはアメリカの軍事大学であるUS Army War Collegeのカリキュラムに組み込まれた概念だそうです。その後、いくつかのリーダーシップ論で取り上げられているところを見ると、戦争や経営といった意思決定が非常に重要な役割を持つ環境において、上記4つの要素を分析、把握することが意思決定に役立つのだと思います。それら4つの要素に起因したカオスに直面した際に、上層部はどのように意思決定し、対処すべきか、ということのヒントにつながるのではないでしょうか。

このように本来は、現状分析の際、4つの要素のうち、どの要素がいま最も考慮すべきなのかを見極め、それに対するアクションを決定するための指標なのですが、今の現状を見てみると「変動が激しく、不確実で、複雑で、曖昧な世界」になっていると思いませんか?そのため、私たちは未来を予測するのが非常に困難になっていると言わざるを得ません。ですが、いま私たちができることを考えた方が得策です。私なりに考えてみた、今私にできること、心にとめておきたいことは以下の5つです。

①乗り遅れず、騙されないために、正しい情報を素早く取得し常にアップデートする
②淘汰されないために、生き残れるスキル向上に投資する
③「あれもこれも」にならないために、やらないことを決める
④信頼されるために、スペシャリストになる努力を惜しまない
⑤いざというとき助け合えるように、ネットワークを健全に保つ

もし、何か他にもVUCAの時代を乗り越えるこんな策があるよ!って人は教えてくださいね。こんな時代なので、話し合い、助け合いましょう!
そしてマーケティングのご相談はいつでもお気軽にどうぞ!

参照ページ:https://www.forbes.com/sites/jeroenkraaijenbrink/2018/12/19/what-does-vuca-really-mean/#35bb9b8917d6

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