妄想ビジネス:パーソナライゼーションを活用できる新規事業を考えてみる。”個人差”が出るものがヒントに?

こんにちは、Chili Bean’sマーケティングサポーターのサイトウです。すっかり秋になってきましたね。
学びの秋ですので、何か新しく思考を鍛えられるテーマは無いかなと思い、今回はマーケティングのトレンドキーワードから現在のマーケットの潮流を紐解き、ビジネスモデルを考えてみる、という企画です。

日経X TRENDから出ている「最新マーケティングの教科書2020」ではマーケティングにおける最新トレンド37キーワードが紹介されています。この最新トレンドから新しいビジネスモデルを考えてみようと思います。自身の企画力も鍛えられますし、そのビジネスモデルのビジネスモデルキャンバスやSWOTなどでアイデアの穴を見つけるのも良い思考訓練になるのではないでしょうか。

まず今回のお題ですが、「パーソナライゼーション」で考えていきたいと思います。

パーソナライゼーションとは

これまでの商売というのは、ある決まった規格、仕様の商品を需要予測に基づいて製造、提供していくというものです。金太郎飴のように同じものを大量生産して売りさばいていくというのが基本です。しかし近年では多様化が進み、個人の異なる要望に応える、という戦略を取る企業も多くなっているといいます。この傾向にはジェネレーションZ世代の特徴も深くかかわっているように思います。

「パーソナライゼーション」は企業が個人個人のより細かなあらゆるデータに基づいて、タイムリーに最適な商品や情報を提供するというもの。資生堂やBOTANISTが一人一人のコンディションやタイプ、使用状況や環境条件などから分析して配合の異なるスキンケア、ヘアケア用品を提供する、といった例が本書には紹介されています。

しかし一方で個人に向けたカスタマイズを細かにすればするほど製品のポートフォリオは複雑化し、必要な材料やパーツが増え、工程や工数も増えていくため、管理が難しく、サプライチェーンや資源活用の効率も下がりかねません。結果として商品が割高になることはやむを得ないようでです。

そのため、いかに高い満足度を提供できるか、効率的に精度の高いデータ分析をしスピーディに、適切なタイミングで商品提供ができるか、というところがキーになりそうです。

究極のパーソナライゼーションで最強の商品を提供しよう!

Free-PhotosによるPixabayからの画像

「パーソナライゼーション」で展開するビジネスを考えた時に、「個人個人で好みやタイプが分かれるもの」が相性がいいように思います。例えば「音楽」は人によってかなり好みにバラつきがあるため、勝手にお薦めを教えてくれる音楽配信アプリは高度にパーソナライズされたサービスと言えるでしょう。私の場合も音楽アプリは私がエクササイズやランニングをよくする時間帯には快活なEDMやPOPチューンを、夜の晩酌タイムにはしっとりしたジャズを、日曜の昼下がりなどはまったりしたボサノバなどを薦めてくれます。また、エクササイズやランニングアプリも私専用のプランを提供して、アドバイスもしてくれます。

しかし、すでにあるサービスや商品ではなく、この企画では新規のビジネスモデルを考える必要があります。

「個人個人で好みやタイプが分かれるもの」ものに色々と考えを巡らせた結果、「飲食」と「アパレル」に思い当たりました。「アパレル」はすでに勝手にコーディネートしてくれるサービスやZOZO SUITSなどが存在します。そこで、「飲食」について考えます。「ビール」や「ワイン」も、人それぞれ好みが分かれるものです。ですが、ターゲットが大人のみなので、少し狭まってしまいます。どうせならターゲットは幅広い方が良いので、みんなが大好きなものが良いですよね。

趣味嗜好が最も分かれる食べ物は?みんな大好きな”あれ”!

「好み」が関係する、というワードから次に考えたのが「お好み焼き」です。もんじゃ、大阪風、広島風と種類もあり、原価もかなり抑えられます。そしてトッピングの可能性は無限大。しかし、お好み焼きは「焼き方」で味がかなり変わります。自分で作って好みの焼き加減にできるかどうかはその人の腕にかかってしまうので、均一な品質を提供できません。また、お店でだけ提供する手もありますが、スタッフの育成、店舗の維持費など固定費がかさむ上、幅広い原材料の発注は予想が難しくなってしまう可能性もあります。

次に「ラーメン」。これはだいたいみんな大好きで、麺の硬さや味もトッピングも色々あって好みはまさに千差万別です。ですが、先ほどのお好み焼き同様、お店での提供となると固定費や売上原価の上昇が懸念されます。そう考えるとレトルトでの提供。この場合、麺を自分で茹でたりスープをお湯で割ったりする必要があり、お店で提供する味を約束できません。OISIXのように宅配するスタイルで、どこでも誰でもなるべく変わらない味にしたいところですね。

そこでもう一つの国民的食べ物を考えました。

Aarohi RaneによるPixabayからの画像

「カレー」です。カレーはスパイスもその調合も幅広く、スープもサラサラからドロドロ、具材やトッピングも種類があります。そしてスパイスは先ほどのスキンケアやヘアケアなどと同様、漢方薬のように体に変化を及ぼします。発汗作用による新陳代謝の活性化や痩身やお通じなど個人の悩みへの作用に期待も高まります。そして好みが分かれるのは何も「ルー」だけではありません。「ライス or ナン or パン」や「福神漬け」「らっきょう」「干しブドウ」などの添え物にも変化がつけられるのです。その人の好みだけでなく四季折々の旬の具材などでタイムリー性も担保できます。自分のためだけに作られたカレー、めちゃくちゃ食べたいですよね?!最近お疲れ気味のお父さんに「滋養強壮カレー」。お肌の状態をよくする「スキンケアカレー」。3か月でスマートになれる「痩身カレー」。昇進祝いに豪華な「最高級A5カレー」などなど、自分のためだけでなく、お友達や恋人にさりげなくプレゼントするのも喜ばれます。

最後に:ビジネスモデルの弱点を考える

ではこのビジネスモデルの弱点はなんでしょうか?

まず、「パーソナライゼーションは割高になりがち」という前提を忘れてはいけません。一方で「カレー」は庶民的な食べ物です。既製品でも十分おいしいものが沢山ありますよね。競合がかなり多いので、どのようにして選んでもらえるのかを考える必要があります。そして最高級A5肉を使用したものはともかく、「カレー」というものにどれほどの付加価値がつけられるのか、対価はどこまで支払ってもらえるのか、未知な部分も多いですね。また、かくも奥深い料理であるカレーは1種類でも極めるのは難しいはずです。スパイスなどの調合、具材やトッピングなど様々な要素を組み合わせたすべてについて高いクオリティになるようにしなければならないのです。これは相当難易度が高い!(、というよりも無理なのではないでしょうか。)そのため「カスタマイズによってはご希望の味に添えない場合がございます。」などと言い訳じみた注釈をつけなければなりません。もしくはカスタマイズの幅を狭める必要が出てくるのですが、そうなると、だったら「ココイチ」でよくね?って言われますよね。(…溜息)

実現可能性があるプランを60点以上とした場合、このプランは自己採点50点です。カレーはパーソナライズできるけど、クオリティや付加価値と対価のバランス、売上原価を左右するカスタマイズの幅が肝ですね。

いま様々な企業で戦略に盛り込まれている「パーソナライゼーション」、マーケテイング戦略を考える際にも押さえておきたい項目でしたね。みなさんも自分なりの事業を考えてみて下さい。良い練習になりますよ。事業を考える際に参考になるコラムが沢山あるので過去記事も読んでみて下さいね。妄想に最後までお付き合いいただきありがとうございました!また反論、ご意見あまたお待ちしております。

そしてマーケテイングのご相談があればいつでもお気軽にお問い合わせください。

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