個人でも出来るマーケティング基礎:商売するなら知っておきたい4P分析
大変好評いただいております「個人でも出来る」シリーズ、今回もマーケティング基礎中の基礎、「4P分析」をご紹介しますね。商売される方なら押さえておきたいこの分析方法、4つのPを掘り下げていきたいと思います。
どうも。Chili Bean’sマーケティングサポーターのサイトウです。前回ご紹介した3C分析と並んで、こちらのフレームワークもマーケティングでは最初の方に習う分析方法です。こう考えてみるとマーケティングやビジネスで分析って基本的なことでありながら、かなり重要なことなのですね。逆に言えば商売やってるのにこれらの分析をせずにいる方、危険ですよ!(脅すつもりもないんですが、、、)もし何の分析や研究もせずに今商売がうまくいっているとしたら、よほど運が良いか、商売の才能があるかのいずれかです。しかし何か起こってからでは遅いのでやれることは全部やっておきましょう!転ばぬ先の杖ってやつですね。とはいえ言っておきますが分析したからってもちろん100%転ばないわけではありません(すみません)。確かな分析から戦略を導き出して、実行、評価、改善、実行…と果てしなく続きます…。ですが、ご自身の事業なので楽しみながら、地道に、前向きにやっていきましょう!
4つのPで分かる「自分の立ち位置」
さて、そもそもこの4つのPですが、どれも聞いたことのある英単語の頭文字です。
・Product(商品・サービス)
・Price(価格)
・Place(販路・流通)
・Promotion(販促)
いや、単語だけ見るととても簡単そうですね…。しかし基本なだけあって、実はとても奥深いのです。卵焼きが実は難しい、というのと似ているかもしれません。甘く見ていると煮詰まってしまう危険性もありますよ。それでは一つずつ見ていきましょう。
1:Product(商品)は「価値」である
さてまず最初の「P」は「Product」です。つまり売りたい商品やサービスのことです。ここで注意していただきたいのは例えば自転車屋さんの場合、商品は「自転車」なのですが、フレームのアルミ素材だったり、タイヤのチューブだったりはお客さんにとって何の価値(意味)もありません。その自転車に乗った時の体験、つまり乗り心地や見た目のカッコよさ、頑丈で長持ちするボディ、風を切るスピード感、安定した走行、ブレーキの効きの良さ、ペダルの感触、細部の装飾、気分の上がるカラーリングやアクセサリー、ブランドバリュー、乗っている自分のイケてる感などが、期待されている「価値」になります。ラインナップは顧客の幅を左右しますので、ポートフォリオを作って極力ラインナップには被りが無いように、また、商品ごとの顧客層を想定してください。また購入後のアフターケア、コミュニティによるコミュニケーションやナレッジシェアなども市場を刺激する要因になっています。近年はお客様が価値を感じる「体験」の幅が広がっているように感じます。個性的なクラフトビールを販売されている「よなよなエール」さんが頻繁に試飲イベントを開き、そのコミュニティを維持、拡大しているのも最近ではよく見られるコミュニティマーケティングの手法ですね。社員はもとより、お客さんも主体的にイベントに参加されているので、自然と絆が深まり、よりそのブランドへの愛着が湧き、リピーターになってくれるのです。商品やサービスを考える際に、その物自体だけでなく、それらをとりまく「体験」も「Product」の一部として一緒に考えて書き出してみて下さい。
2:Price(価格)は「ブランディング戦略」で変わる
価格を決めるのはとても難しい作業です。正直、私もマーケティングコンサルティングといった概念のようなものに値付けをするので、価格の決定に関しては日々悩みながら、ああでもないこうでもないと模索しています。そういう意味において、価格は常に一定である必要はありません。100円ショップなどを経営する場合などを除いては、価格は市場に合わせて変動するのが当たり前ですし、その事業のフェーズによっても変わります。そして最も価格に影響する要素の一つにはブランディング戦略があります。というのも、高級感を打ち出すのか、お手頃感をうちだすのか、バルクディスカウントを売りにするのか、ニッチな商品で攻めたいのかによって、平均的な市場価値とは異なる価格をつけることになるからです。自分の商品やサービスは何が特徴的なのか、どんなお客さんに勝ってほしいのか、それらを踏まえたうえで、ブランディングについても考えてみて下さい。ニッチな商品であれば競合他社はいませんので、ある程度好きな値付けが可能です。バルクディスカウントの場合は他社の金額を調べてサプライチェーンを効率化したり、オフショアリング(海外への業務委託)するなど他社と同等か安い金額を設定する必要があります。他社と同様の金額設定の場合は、金額以外のところで勝てる要素を準備しておく必要があります。そうでなければお客さんがその商品を選んでくれる確度が下がってしまうためです。商売の種類にもよりますが、損益分岐点を計算した上で年間の売り上げ予測をし、金額を決めたら一定の期間その金額で事業を回してみて、定期的に見直しをすることをお勧めします。また、価格と同様に支払い方法やディスカウントの有無なども顧客のタイプと併せて検討してみて下さいね。
3:Place(流通・販路)は手堅く行こう!
次に考えるのはPlace(流通・販路)です。「流通」も「販路」も重要な要素なので、両方をこの項目で見ていきたいと思います。流通では資源調達、在庫の保管場所、配送方法などなど、販売にかかる必要経費が見えてくるはずです。販路では自社の販売店、オンラインショップに加えAmazonや楽天といった第三者のモールやオンラインショップ、BASEやShopifyなどのプラットフォーム、百貨店やコンビニエンスストアなどのチェーン店、ポップアップストアやイベント会場など一時的な販路も含まれます。流通は自社の販売経費に大きくかかわるところなので、しっかりと検討し無理のない範囲で流通させるに越したことはないでしょう。販路については、顧客がいる場所をきちんとリサーチして場所を決めたいですね。オンラインだけで集客できるのであれば実店舗をいきなり持つ必要はないでしょうし、若者向けの商品を巣鴨で売ろうと思う人はいないでしょう。先ほどのPriceの話にもつながりますが、売り場もブランディングには関わってきます。BtoBであればまずは展示会などで商談するのが良いでしょうし、高級路線であれば百貨店進出を狙ったり、銀座にお店を構えるという選択肢も出てきます。ニッチ路線であればダイレクトマーケティングで直接顧客にアプローチして売るのが効率的です。健康食品や家電製品、アイデア商品や中高年向けのアパレルや美容関連商品であればテレビショッピングでさばくという手もありますね。あなたの商品やサービスに合った流通、販路を考えてみて下さい。
4:Promotion(販促)は地道にやれることから
最後はPromotion(販促)です。これは販売促進のための活動で、カタログを店頭に置いたり、DMを送ったり、広告を売ったり、といったことがこの項目に当てはまります。スモールビジネスの方でいきなりテレビCMをやろう!と思う方はいないでしょう。個人的には販促にお金を投資するのは一番最後の手段だと思っています。無料でやれることをすべてやって足りないところを投資して補うようなイメージでいた方が良いと思います。無料でやれることにはどのようなことがあるでしょうか?たとえばとても単純なことですが、自分の身の回りの人に勧めてもらう方法。これは日ごろの人間関係が良好であればすぐにでも実行できます。企業にも広報と呼ばれる人がいて、メディアなどにネタを提供して記事にしてもらうことで無料で宣伝をすることを専門としています。また近年ではSNSで自社のファンを増やしてアピールするという方法や、ブログや動画などのオウンドメディアで有意義なネタを提供することでつながりを持つ、といったことも可能です。もちろんすべて自分たちでやったとしても「労力」はかかるので厳密には「無料」ではないのですが、高いデザイナーに広告を頼まなくても手書きのPOPでも十分伝わるのであればそれで構わない、という意味です。スモールビジネスであれば無駄な経費は命取りなので、出来る範囲での地道な販促を考えてみて下さい。もちろん高級志向の場合はそれなりのクオリティのホームページや広告が必要かもしれませんが、そうでない場合は、自分たちで出来ることを探してまずはやってみて下さい。また、売れないからと言ってディスカウントばかりするのも避けた方が良いでしょう。顧客はディスカウント癖がつくと安い時以外に買ってくれなくなってしまうためです。ディスカウントや特典は特別な記念日や顧客のアクションに応じてお礼の意味を込めて与えるにとどめて下さいね。キャンペーンは顧客が楽しくなるような、そのブランドのキャラクターを生かしたようなものにするといいでしょう。とは言え、どんなキャンペーンをすればいいのか分からない、という方はChili Bean’sでご相談を承っていますのでいつでもご相談くださいね。
最後に:分析はあくまでも補助ツール
マーケティングという分野には分析のフレームワークがたくさんあります。すべてを実施する必要はないと思いますが、基本的なものは一通り実践してみることをお勧めします。またこれらのツールは絶対ではありません。メリットもあればデメリットもありますし、すべてを網羅できるわけでもありません。あくまでも補助ツールだと思って活用されることをお勧めします。なぜならあなたの事業はあなたにしかわからないこともあるからです。いくら分析ツールを駆使したところで、リアルなお客さんと接しているあなたの直感が正しいということもあると思います。うまく分析ツールと付き合いながら事業の発展を目指してくださいね。そしてもしマーケティングについてどうしていいか分からない、困っていることがある、という時はいつでもご相談ください。
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